経済・ビジネス

「上にモノを言う」べきダイハツ新経営陣が早くも失望される理由

2024年2月29日

画策されたスズキからの新社長招聘に失敗し、最終的に指名された新経営陣はイニシアチブを発揮できるか疑問視される軽量級。そもそもダイハツに限らず不正が続くトヨタグループの問題は、本丸の組織風土に根があるのではないか。新体制の陣容を聞いたダイハツのある社員は、「ますますトヨタからの締め付けが強くなる」と憂い顔を隠せない。

 車両認証試験での不正に揺れるダイハツ工業の再建を、トヨタ自動車が主導することに疑問の声が上がっている。トヨタは完全子会社のダイハツに対して新たに社長、副社長、取締役の3人を送り込み、「上にモノを言えない」社内風土を改革するという。しかし、そもそもこれまでも、ダイハツ役員陣には奥平総一郎社長(67)はじめトヨタ出身者が名を連ねた。ダイハツの社風が問題ならば、その責任の一端はトヨタにもあるだろう。

 ダイハツの不正は、短期間での新車開発を迫られた現場が、無理筋なスケジュールを上司に相談しても「無駄」だと考えたことに起因する。また、ダイハツはトヨタグループの中で「新興国小型車カンパニー」としての役目を担ってきたが、トヨタが新興国向けコンパクトカーの開発に強烈なプレッシャーをかけたことも、開発部門が不正に手を染めた原因の一つだとされる。

 トヨタはダイハツ社内の風通しをよくするとともに軽自動車に特化させ、新興国向け小型車の開発はトヨタと役割分担していく方針だ。このためトヨタは当初、資本提携相手でもあり軽自動車や新興国向け小型車に強いスズキに、ダイハツを再建するトップの派遣を要請したと経緯を知る関係者は証言する。特に有望視されたのは、トヨタ出身で現スズキ副社長の石井直己氏(58)だ。

  • ダイハツ再建の切り札は「トヨタ出身スズキ副社長」?

 これに対してスズキは、自社でもかつて燃費不正や完成検査不正が発覚したことなどを表向きの理由にして、「丁重に断った」(関係者)。石井氏はスズキの鈴木俊宏社長(64)の右腕であり、今抜けられるとスズキの戦略にも影響する。何よりスズキは、ダイハツとは長年にわたって軽自動車市場のライバルだ。今後、ダイハツが軽自動車に特化するならなおさら、有力人物の派遣は敵に塩を送ることになりかねない。

 こうしてトヨタには、社内人材の活用しかなくなった。奥平社長の後任には、3月1日付でトヨタの井上雅宏中南米本部長(60)が就任する。さらにトヨタ自動車九州の桑田正規副社長(53)が副社長、トヨタの柳景子カスタマーファースト推進本部副本部長が非常勤の取締役に就く。……

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