政治

英保守党「大敗」を演出した「14年間の失望の蓄積」

2024年8月19日


<span>英保守党「大敗」を演出した「14年間の失望の蓄積」</span>
敗北はほとんど避けられないものだった[官邸前で退任演説を行うスナク前首相=2024年7月5日、イギリス・ロンドン]

前回総選挙では、保守党潰しよりもブレグジット実現を優先した「リフォームUK」が保守党現職の選挙区から撤退した。今回は遠慮なく候補者を立てた時点で、保守党の敗北は決まったのかもしれない。キャメロン政権からの緊縮財政が行き詰まり、ジョンソン・トラスのバラマキを経てスナクが再び緊縮に戻る14年間の迷走で、「経済に明るい」はずの党の評判は地に落ちた。失望に特に拍車をかけたのがジョンソン時代の無秩序だ。エド・ミリバンドやジェレミ・コービンが率いた労働党が“政権を任せられない党”だった間は隠されていた問題が、一気に顕在化したと言えそうだ。

 英国で7月に実施された総選挙の結果、14年ぶりの政権交代が実現した。穏健左派の新首相キア・スターマー(61)が率いる労働党は、全650選挙区のうち411選挙区で勝利を収め1、安定多数を背景に、比較的堅実な政権運営に携わると予想される。外交や安全保障は、保守党政権のラインから大きくは外れないと見られている。

  • 英国スターマー政権「5つの使命」と立ちはだかる財政規律の制約

 ここでは、下野した保守党に焦点を当ててみたい。英国の欧州連合(EU)離脱騒ぎのさなかに実施された前回2019年の総選挙で365議席と大勝した保守党は、約4年半の間にその資産を使い果たし、今回121議席に沈んだ。その過程と背景を振り返る営みは、今後の英国政治のみならず、欧州政治やポピュリズムの将来を考えるうえでも重要だろう。

 筆者は今回、投開票日の7月4日前後に英国に滞在し、英保守党政治研究の第一人者として知られるロンドン大学クイーン・メアリー教授ティム・ベイル(58)の助けを借りつつ、選挙を観察した。

労働党は、実は票を減らしていた

 その選挙結果は、事前にある程度予想されたとはいえ、やはり衝撃的だった。改選前に比べ、労働党は209議席増となったのに対し、保守党は実に244議席を失った。歴史的な勝利を収めた労働党の議席数は、保守党の3倍以上となった。……

おすすめの記事

すべて見る
戻るボタン 次へボタン

おすすめの動画

すべて見る
戻るボタン 次へボタン

ニュースレターを購読する

新潮QUEは、「問う力」を養っていくためのサブスクリプションサービスです。

無料登録する