政治

フランス「バルニエ内閣」が示唆する欧州政治の「新トレンド」

2024年10月3日

右派「レピュブリカン」(共和主義者)のミシェル・バルニエ率いる新内閣が成立した。このフランス政界とやや縁の薄い政治家の首相就任は、左派・左翼が有力な候補を打ち出せなかったこと、右翼「国民連合」にも受け入れられる人物を選ばざるを得なかったことを背景とする。一方で、国民連合は今後、レピュブリカンに支持を奪われかねない立場に置かれたともいえる。首相任命後も組閣まで2週間以上かかった迷走は、今後の議会運営の困難を予想させるものに他ならない。ただ、ポピュリズム政治から実務派政治への回帰という、英国やイタリアなどですでに顕著になっている欧州政治の新トレンドに乗る現象とも位置付けることができるのではないか。

 フランスで、初夏の総選挙から約2カ月半を経た9月21日、新内閣がようやく始動した。右派政党「レピュブリカン」(共和主義者)のミシェル・バルニエ(73)を首班とし、大統領エマニュエル・マクロン(46)傘下の与党連合「アンサンブル」が加わる中道右派内閣である。レピュブリカンは総選挙で敗北を喫し、左派左翼連合「新人民戦線」、アンサンブル、右翼「国民連合」の3大勢力から大きく水をあけられて国民議会(下院)の第4勢力にとどまっていただけに、有権者の多くにとって意外な展開となった。

 主に右派と中道が閣僚を分け合ったものの、反移民傾向の強い右派最強硬派の元老院(上院)議員ブリュノ・ルタイヨ(63)が内相に就任したことで、右寄り内閣のイメージを強く印象づけた。総選挙前のガブリエル・アタル(35)首班内閣からは、国防相のセバスチャン・ルコルニュ(38)と文化相のラシダ・ダチ(58)が残留した。左派からは唯一、元社会党のディディエ・ミゴー(72)が法相に入った。全般的に知名度に欠ける政治家が多く、かといって若々しいわけでもなく、アピール要素にはやや乏しい布陣である。

 アンサンブルに加わる中道政党「民主運動」(MODEM)からジャン=ノエル・バロ(41)が外相に、マクロン直系の政党「ルネサンス」から熱心なウクライナ支持派のバンジャマン・アダッド(38)が欧州担当相に就任し、外交政策に大きな変化はないと見られる。

 議会の半数を割り込む少数与党内閣で、法案成立には毎回の困難が予想される。現状だと、右派の首相に反発する新人民戦線の協力を得るのは難しく、法案ごとに国民連合や左派穏健派と協議する国会運営を強いられる。 ……

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