- アルメニア「サバイバル戦略の行方」(1) ユーラシアの十字路
その村、ダヴィット・ベックの名を初めて耳にしたのは、アルメニア南部シュニク州の州都カパンを訪れた時だった。ここでNGOを主宰する女性アニー・サルグシアン(33)からである。
アゼルバイジャンは2023年9月、ソ連時代の自治州だったナゴルノ・カラバフを事実上武力で制圧した。そこに暮らしていたアルメニア系住民12万人は、ほぼ全員がアルメニア本土に避難民となって脱出した。このうちの数百人前後がカパン周辺に移り住んでおり、サルグシアンたちはその支援に取り組んでいる。
避難民たちは経済的に苦しい立場にあるだけでなく、故郷を失うという精神的心理的ダメージも受けている。そのケアが大切だ――。そのような話の中で、サルグシアンが漏らした。……