特集|政治

Vol. 3

「力の誘惑」に負けたアメリカから考えるべき“日米同盟のプランB”

2026年7月9日


<span>「力の誘惑」に負けたアメリカから考えるべき“日米同盟のプランB”</span>

 「各国家は力の体系であり、利益の体系であり、そして価値の体系である」――。国際政治学者の故高坂正堯氏が残した有名な一節だが、初出から60年を経た今も国際政治を語るうえで頻繁に引用される言葉だ。第二次トランプ政権下のアメリカでは大規模な軍事作戦が立て続けに行われ、徐々に「力の体系」を強めていると言えるだろう。同盟国のアメリカが力に傾斜する一方、日本は強みだったはずの「利益の体系」を弱めつつある。しかし、ある体系が過剰または不足してバランスを失えば、国家が国際社会を生きていくことは難しい。数十年に一度と言われる国際秩序の動揺の中で、日本は今後どのようにして国際社会の中を生きていけばよいのか。京都大学大学院法学研究科の中西寛教授に聞いた。

「途方もない特権」が覆い隠したアメリカの歪み

 2026年現在の国際情勢、特にアメリカの動きを見ていると、アメリカがあまりにも自らの軍事力に自信を持ちすぎたために、力に頼んで賢明な政治や外交の判断ができなくなっているのではないかと感じざるを得ません。

 1970年代ごろまでのアメリカは、工業力を中心とした経済力を備え、軍事力を蓄えながらも文化や知恵を使って国際社会をリードしていくような姿勢がありました。ところが1980年代、レーガン政権の頃から、金融力を大きく成長させ、それに伴って軍事力も拡大。テクノロジー伸長の時代も相まって、政官学のコングロマリットも巨大化していきました。

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