2025年は、トランプ政権の発足による「最大限の圧力」政策の復活、米国との核交渉の再開、イスラエルとの12日間戦争、そして国連による対イラン制裁の再開と、激動の1年を送ったイランであるが、最大の爆弾は国内に潜んでいた。
12月28日、通貨の暴落による高インフレにあえぐテヘランの商人たちは、経済的な不満を政府に訴えるべくストライキと抗議集会を引き起こす。その様子がSNSによって拡散されると、瞬く間にイラン全土での抗議デモに発展していった。
もっとも、イランは定期的に大規模な抗議デモが起きる国である。直近では、2022年9月にヒジャーブ着用義務をめぐる抗議デモが起きて、500人が死亡、2万人近くが拘束される事態になったほか、2019年11月のガソリン価格値上げへの抗議デモでは200~300人が死亡、7000人が拘束。2017年12月末から1月初頭にかけて起きた反政府抗議デモでは23~25人が死亡、5000人が拘束されている。また、過去の抗議デモでもっとも大きな政治運動になった2009年の「緑の運動」では、36~72人の死者が出て、4000人が拘束されている。
今回のデモも、過去の事例と同様に収束すると見られていた。しかし、体制による鎮圧はこれまで以上に苛烈なものとなった。米国に拠点を置くイランの人権団体Human Rights Activists News Agency(HRANA)によると、2月7日までに確認されている死者数は6961人、関連性を調査中の死者数は1万1630人に上っており、拘束者数は5万人を超える等、過去のデモと比べて被害が桁違いに大きくなっている。……