ここ最近ニュースで取り上げられることの増えた、上場企業の非公開化。豊田自動織機をはじめ、各社のリリースには軒並み「上場廃止によって経営の自由度を高め、短期的な株価変動に左右されずに長期的な成長戦略を実行する」という文言が並ぶが、上場をしていたら長期的な成長を描けないという話でもあるまい。さらに「敵対的買収やアクティビストから会社を守る」という目的があったとしても、実は上場を廃止したとて全く意味をなさないどころか、「敵の食い物にされるだけ」なのだという。それでも非公開化が流行する背景には一体何があるのか。企業防衛のプロが、その裏事情と、会社を守る「本当の方法」についてアドバイスを送る。(鈴木賢一郎/IBコンサルティング代表取締役社長、『株式投資の基本はアクティビストに学べ プロの投資に便乗する「コバンザメ投資」の始め方・儲け方』著者)
※2025年8月20日に「デイリー新潮」の有料記事として配信されたものです。肩書等、全て当時の情報です。
『短期的な業績悪化の懸念にとらわれず長期的な視点で成長を実現していくことが当社の企業価値向上、ひいてはトヨタグループ全体の価値向上に資すると考え、当社において非公開化を検討すべきとの判断に至った』
これは2025年6月3日に豊田自動織機が公表した非公開化の理由を要約したものです。さらに端的にいうと、「長期的視点での経営を実現し企業価値を向上させるため」ということです。
私はこれを読んだ際、非常に強い違和感を持つとともに「トヨタグループであってもこういう理由しか書けないのだな。やはり非公開化には大義名分などないのだ」と確信しました。
※出典:トヨタ不動産株式会社による当社株式に対する公開買付けの開始予定に関する賛同及び応募中立の意見表明のお知らせ(2025 年6月3日/株式会社豊田自動織機)
https://www.toyota-shokki.co.jp/news/item/20250603_document04.pdf