特集 > ライフ

Vol. 6

東京から北海道・幾春別へ 零下20度近い冬を休みなく働き続ける夫婦の「過酷」で「幸せ」な食堂経営の日々

2026年6月17日


<span>東京から北海道・幾春別へ 零下20度近い冬を休みなく働き続ける夫婦の「過酷」で「幸せ」な食堂経営の日々</span>
更科食堂店主の白髭克彦さんと理恵さん

「更科食堂」を継承し、東京から幾春別(いくしゅんべつ)に移住して以来、生活に休みはない。零下20度近くまで冷え込む冬を、朝から晩まで働き続けて過ごす。そんな45歳店主が「幸せだ」と曇りなく語る根底にあるのは、地域の人々への感謝と、そして――。

更科食堂の味

 現在の主人、白髭克彦が先代の「尚さん」こと平田尚敬から伝授されたレシピはそばだけではなかった。そばと並ぶ人気メニュー、ラーメンもまたスープの取り方から教わった。天丼、玉子丼、親子丼も百年前から続く味だ。白髭が新しくメニューに加えたのは北海道の空知産エゾシカの肉を卵とじにしたエゾシカ丼、地元で取った行者にんにくを使ったそばくらいだ。 

 更科食堂の店内は昭和レトロである。昔のポスターが貼られていて、食器、ガラスコップ、お盆などは昭和の時代から使っていたものだ。ラーメンのスープは鶏ガラと野菜でとったものにそばのだしを加えている。ラーメンの麺は岩見沢の老舗の製麺店から取り寄せた。更科食堂に来る客はそば、ラーメンのいずれか、もしくは両方を注文する。そして、欲張りな客はこの店だけにある天丼を頼む。天ぷらのタネは、ほうれん草だ。エビでもイカでも穴子でもない。ゴボウ、ニンジン、玉ねぎといった精進揚げでもない。ほうれん草だけを刻んだ天ぷらだ。ほうれん草の天ぷらを載せた天丼は世界で唯一無二だろう。

 白髭は胸を張った。

おすすめの動画

すべて見る
戻るボタン 次へボタン

ニュースレターを購読する

新潮QUEは、「問う力」を養っていくためのサブスクリプションサービスです。

無料登録する