経済・ビジネス

フジの買収防衛策の“盲点”とは アクティビストの本当の狙いと「“有事を起こさない”ための企業の備え」

2026年5月2日


<span>フジの買収防衛策の“盲点”とは アクティビストの本当の狙いと「“有事を起こさない”ための企業の備え」</span>

 昨今、企業に対する攻勢を強めるアクティビスト。ダルトンや旧村上ファンドとやりあうフジテレビの姿に、「わが社も他人事ではない」との思いを抱く企業幹部は少なくなかろう。直近の注目の的は、7月にフジが導入したいわゆる「買収防衛策」なのだが、本当にこれで会社を守ることにつながるのか。実は買収防衛策と一口にいっても、「平時型」と「有事型」の主に2種類あり、フジが導入したのは「有事型」だ。フジ以外にも導入する企業が増えている一方、「そもそも“有事を起こさない備え”こそが重要」と説くのは、企業防衛に通ずる鈴木賢一郎氏。世間でいわれる「買収防衛策」の裏側や、会社を守る上での重要な考え方などについて、5000字以上にわたって解説した。(鈴木賢一郎/IBコンサルティング代表取締役社長、『株式投資の基本はアクティビストに学べ プロの投資に便乗する「コバンザメ投資」の始め方・儲け方』著者)
※2025年9月9日に「デイリー新潮」の有料記事として配信されたものです。肩書等、全て当時の情報です。

買収防衛策を導入したフジ・メディア・ホールディングス

 一連の不祥事やダルトン、旧村上ファンドの攻撃によって波乱となった株主総会を乗り切ったフジ・メディア・ホールディングス(フジMHD)が2025年7月10日、旧村上ファンドを対象にした買収防衛策の導入を公表しました。

 これは一般的に「有事型買収防衛策」と言われるもので、特定の買収者・アクティビストをターゲットにした買収防衛策です。具体的な買収提案があったり、その可能性が高まったりした「有事」の状態で導入されることから、平時に導入される「平時型買収防衛策」とは一線を画してこう呼ばれます。端的に違いを述べると、平時型買収防衛策は20%以上の株式を取得する買収者に対して、時間と情報を確保することを主な目的として導入されるのに対し、有事型買収防衛策はフジMHDのように旧村上ファンドという特定のターゲットに対してのみに買収防衛策を導入・発動するという特徴があります。

 実はフジMHDが有事型の買収防衛策を導入するのは今回で2回目です。と言っても正確には初めて実施したのはフジMHDではなく、ニッポン放送ですし、現在の有事型買収防衛策の仕組みとは異なります。

 2005年、当時のライブドアが時間外取引を利用してニッポン放送株を約35%取得しました。ニッポン放送は当時フジテレビ株を約22%保有しており、ニッポン放送株を大量に取得することで、フジテレビの経営に影響力を持つことが狙いと言われていました。ライブドアの株式取得に対抗すべく、ニッポン放送は取締役会決議によりフジテレビに対して新株予約権を発行して対抗しようとしたところ、ライブドアが発行差止請求をし、司法判断の結果、新株予約権の発行は認められず失敗に終わりました。……

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