Foresight

マリ「ジハーディスト組織」の攻勢が示唆する西アフリカの更なる混迷

2026年5月15日


<span>マリ「ジハーディスト組織」の攻勢が示唆する西アフリカの更なる混迷</span>
マリの首都バマコは陸上封鎖に近い状態に陥っている[武装勢力による攻撃で死亡したカマラ国防相の葬儀に参列したゴイタ大統領=2026年4月30日、マリ・バマコ](C)Mali Presidency via Facebook /Handout via REUTERS

西アフリカのマリで中央政府に対するジハーディスト組織と分離主義勢力の攻撃が拡大している。2020年のクーデターで権力を掌握した軍事政権は、旧宗主国のフランス軍を追放しロシアの「アフリカ部隊」に依存したが、今回の攻撃では同部隊も主要都市から撤退している。ロシアもまた、豊富な天然資源を有するマリでの権益を背景に契約関係を結んでいたに過ぎなかった。軍事政権には「反西側」のイデオロギー以外に有効な求心力を見いだせず、欧米にも事態改善へ動く気運がない中で、ジハーディスト組織の勢力伸長が生む混乱は他のサヘル諸国にも広がりかねない。

  4月下旬、西アフリカのマリの複数の場所で「ジハーディスト組織」(西アフリカではテロ組織のことをこのように呼ぶ場合が多い)及びトゥアレグ分離主義組織による攻撃が行われた。国防相が殺害され、主要都市の奪取が見られた。内陸国マリの首都バマコは、幹線道路の相当部分をジハーディスト組織に押さえられて、陸上封鎖に近い状態に陥っている。

 大きな事件となっているが、日本ではあまり報道されていないようだ。そこで本稿では、事態の経緯を整理することを試みながら、マリの実情の歴史的背景を、西アフリカ全域の不安定化の文脈の中で参照していく。

全域で様々な勢力が入り乱れる混乱状態

 アルカイダ系のジハーディスト組織JNIM(Jama'at Nusrat al-Islam wal-Muslimin:イスラム・ムスリムの支援団)が、トゥアレグ分離主義勢力のFLA(Front de libération de l'Azawad:アザワド解放戦線)と共同軍事行動をとって、4月25日からマリ各地で大規模な攻撃を行った。首都バマコ付近、カティ軍事基地、ガオ、セバレ、キダルといった主要都市群だ。

おすすめの記事

すべて見る
戻るボタン 次へボタン

おすすめの動画

すべて見る
戻るボタン 次へボタン

ニュースレターを購読する

新潮QUEは、「問う力」を養っていくためのサブスクリプションサービスです。

無料登録する