4月下旬、西アフリカのマリの複数の場所で「ジハーディスト組織」(西アフリカではテロ組織のことをこのように呼ぶ場合が多い)及びトゥアレグ分離主義組織による攻撃が行われた。国防相が殺害され、主要都市の奪取が見られた。内陸国マリの首都バマコは、幹線道路の相当部分をジハーディスト組織に押さえられて、陸上封鎖に近い状態に陥っている。
大きな事件となっているが、日本ではあまり報道されていないようだ。そこで本稿では、事態の経緯を整理することを試みながら、マリの実情の歴史的背景を、西アフリカ全域の不安定化の文脈の中で参照していく。
全域で様々な勢力が入り乱れる混乱状態
アルカイダ系のジハーディスト組織JNIM(Jama'at Nusrat al-Islam wal-Muslimin:イスラム・ムスリムの支援団)が、トゥアレグ分離主義勢力のFLA(Front de libération de l'Azawad:アザワド解放戦線)と共同軍事行動をとって、4月25日からマリ各地で大規模な攻撃を行った。首都バマコ付近、カティ軍事基地、ガオ、セバレ、キダルといった主要都市群だ。