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変貌するアメリカでのロビイング実態――「トランプ政権への人脈」に騙されない正しいルール形成戦略とは

2026年7月3日


<span>変貌するアメリカでのロビイング実態――「トランプ政権への人脈」に騙されない正しいルール形成戦略とは</span>
米国のロビイング市場の性格はいま大きく変わりつつある[石炭業界のロビー団体をホワイトハウスに迎え、国防総省に石炭火力発電の購入を指示する大統領令に署名したトランプ大統領=2026年2月11日、アメリカ・ワシントンDC](C)Andrew Leyden/ZUMA Press Wire

トランプ2.0発足とともに米国ロビイング支出は過去最高の50億ドル超に達した。ところが、莫大な額を支払った後で、多くのクライアントが期待した「成果」を得られない事態が頻発している。「関税の個別例外」を狙う旧来モデルは、特例を出すこと自体を政策的失敗とするトランプ2.0では機能不全に陥った。代わって必要性が増したのは、「分断するルールへの対応」だ。米国で「儲かる」側に立つには、ルール形成の場に席を置くしかない。日本企業のロビイング実態と戦略課題を解剖する。

トランプ2.0開始から躍動した米国ロビイング産業

 米国のロビイング実績を集約するデータベース「OpenSecrets」の集計によれば、2025年の連邦ロビイング支出は過去最高の50.8億ドル、前年比+11%という、四半期報告制度が導入された2008年以来最大の伸び率となった。2025年7月に署名された「One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)」には実に2,354組織がロビイング活動を届け出ており、2位の法案の3倍を超える。

 注目すべきはロビイング相手のシフトである。トランプ2.0では、議会へのロビイングよりも、大統領周辺・行政府幹部への直接アクセスが圧倒的に重視される構造になった。象徴的だったのが、就任後初の外遊となった2025年5月の中東歴訪である。サウジアラビア、カタール、UAE(アラブ首長国連邦)の3カ国に同行したのは、米主要企業のCEOおよそ30人。Tesla、Nvidia、Google、、Boeingなどビッグテックを中心とする顔ぶれの前で、サウジ王太子主催の昼食会において計6,000億ドル規模の投資コミットメントが署名された。ロビイングのフォーマットそのものが、議会の委員会証言や規制当局へのパブリックコメント(意見提出)から、大統領との直接同行・直接交渉へと重心を移したシグナルである。

期待倒れの「トランプ政権幹部への人脈あるよ」

 このパラダイムシフトの中で最も派手に潤ったのが、「トランプ政権中枢に人脈あり」を売りにするロビイングファームである。

 筆頭のBallard Partnersは、創業者ブライアン・バラードがトランプ・キャンペーンの大口バンドラー(献金を束ねる有力支援者)であり、パム・ボンディ前司法長官やスージー・ワイルズ大統領首席補佐官の古巣でもある。2025年通年ロビイング収入は8,810万ドルに達し、前年比+約350%。長年首都ワシントンのロビイング業界(通称「K Street」)のトップを走ってきたBrownstein Hyatt Farber Schreckを抜き、米ロビイング業界史上の新記録を樹立した。Miller Strategies、Continental Strategy、Checkmate Government Relationsを加えたトランプ系4ファームの合計売上は、2025年第3四半期までで1.25億ドル超、新規クライアントは合計200社以上に達した。

 ところが、莫大な額を支払った後で、多くのクライアントが期待した「成果」を得られないという事態が頻発している。端的に言えば、「中途半端なトランプ政権関連の人脈」では機能しなかったのだ。

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