トランプ2.0開始から躍動した米国ロビイング産業
米国のロビイング実績を集約するデータベース「OpenSecrets」の集計によれば、2025年の連邦ロビイング支出は過去最高の50.8億ドル、前年比+11%という、四半期報告制度が導入された2008年以来最大の伸び率となった。2025年7月に署名された「One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)」には実に2,354組織がロビイング活動を届け出ており、2位の法案の3倍を超える。
注目すべきはロビイング相手のシフトである。トランプ2.0では、議会へのロビイングよりも、大統領周辺・行政府幹部への直接アクセスが圧倒的に重視される構造になった。象徴的だったのが、就任後初の外遊となった2025年5月の中東歴訪である。サウジアラビア、カタール、UAE(アラブ首長国連邦)の3カ国に同行したのは、米主要企業のCEOおよそ30人。Tesla、Nvidia、Google、、Boeingなどビッグテックを中心とする顔ぶれの前で、サウジ王太子主催の昼食会において計6,000億ドル規模の投資コミットメントが署名された。ロビイングのフォーマットそのものが、議会の委員会証言や規制当局へのパブリックコメント(意見提出)から、大統領との直接同行・直接交渉へと重心を移したシグナルである。
期待倒れの「トランプ政権幹部への人脈あるよ」
このパラダイムシフトの中で最も派手に潤ったのが、「トランプ政権中枢に人脈あり」を売りにするロビイングファームである。
筆頭のBallard Partnersは、創業者ブライアン・バラードがトランプ・キャンペーンの大口バンドラー(献金を束ねる有力支援者)であり、パム・ボンディ前司法長官やスージー・ワイルズ大統領首席補佐官の古巣でもある。2025年通年ロビイング収入は8,810万ドルに達し、前年比+約350%。長年首都ワシントンのロビイング業界(通称「K Street」)のトップを走ってきたBrownstein Hyatt Farber Schreckを抜き、米ロビイング業界史上の新記録を樹立した。Miller Strategies、Continental Strategy、Checkmate Government Relationsを加えたトランプ系4ファームの合計売上は、2025年第3四半期までで1.25億ドル超、新規クライアントは合計200社以上に達した。
ところが、莫大な額を支払った後で、多くのクライアントが期待した「成果」を得られないという事態が頻発している。端的に言えば、「中途半端なトランプ政権関連の人脈」では機能しなかったのだ。