「今年1月の東証1部復帰で東芝再生のミッションがすべて完了した。まさに男子の本懐だ」。
東芝は14日、車谷暢昭社長兼最高経営責任者(CEO)が同日付で退任すると発表した。後任には車谷氏の前任社長を務めた綱川智会長が復帰する。冒頭の言は東芝が同日公表した、車谷氏の退任にあたってのコメントである。東芝再建の区切りを迎えたことによる清々しい「円満退任」が強調されているが、真実は真逆だ。きっかけはわずか一週間前に明らかになった英投資ファンドによる東芝への買収提案。このディールを自ら仕掛けて保身に走った車谷氏が孤立無援となり、事実上「クビ」となったという話が本当のところだ。
そもそも車谷氏はすでに窮地に立たされていた。東芝は近年、「物言う株主」として知られるシンガポールの投資ファンドで、筆頭株主のエフィッシモ・キャピタル・マネジメントと対立してきた。昨年7月の株主総会では、エフィッシモが提出した同ファンド創業者の今井陽一郎氏らを取締役とする株主提案は否決された一方、車谷社長の再任案の賛成率も約57%どまり。さらに昨年の総会での議決権集計方法に問題があるとして、今年3月に開かれた臨時株主総会では、外部の弁護士3人を選任するとのエフィッシモの提案が可決していた。「車谷氏とでは対話ができない」。アクティビストの圧力は高まっていた。 ……