政治

砂漠から「第一列島線」へ――『アメリカ海兵隊』が戦車400両を全廃する理由

2021年8月10日

今年7月、アフガニスタンに最後まで残っていたアメリカ軍の戦闘部隊、約2500名が撤退を完了した。約20年に及んだ「米国最長の戦争」から手を引いた米軍は、今や「世界で最も危険な場所」となった台湾海峡に目を向けている。あらゆる戦争を常に最前線で戦ってきた『海兵隊』の大変革から、中国の覇権拡大に備える米国の本気度を窺い知ることができる。

 

7個戦車中隊を全廃、戦車400両を陸軍に移管

 米中大国間競争の時代、米国は中国の軍事力増強を自国の国益に対する挑戦と受け止めている。この挑戦に対応するため、ここ数年、米軍の全軍種において、新たな作戦構想や戦力構成の見直しが精力的に進められている。特に米海兵隊においては、その存在意義までをも根底から見直すという、ドラスティックな変革が進行中である。

 例えば、保有している7個戦車中隊全てを廃止し、海外に集積している戦車も含め約400両の戦車を陸軍に移管するとともに、海兵隊が伝統的に重視してきた水陸両用の戦闘強襲大隊を半減させようとしている。これを聞いた当初、筆者は驚くと同時にその背景を知りたいという思いに駆られた。陸上幕僚長として陸上防衛に責任を持っていた立場からすれば、「戦車ゼロ」というのはあり得ない考えであり(ちなみに、陸上自衛隊の戦車は近い将来、約300両になる)、また、「米軍はもう離島奪回作戦はやらないのか」とまで心配したほどである。

 一方で、減らされる部隊があれば増える部隊もある。無人航空隊を100%増強して6個隊とし、ロケット中隊を200%増やして21個中隊を目標とするなど、全体として「攻撃」よりも「情報」、および長距離火力による「阻止」を重視していると見られる。……

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