経済・ビジネス

【Special Report】アマゾン川流域は転換点に近づいているのか? 3つの不吉な研究結果

2021年11月15日

アメリカとほぼ同じ面積を持つブラジル・アマゾン川流域の熱帯雨林が、死への「転換点」に近づいているという。この地で半世紀農業をしてきた一家、何千もの樹木を個別調査した科学者夫婦、そして、林冠上空の大気サンプルを集める大気化学者の証言から、その危険度の真相に迫る。

[オウロ・プレット・ド・オエステ/ブラジル]ガートルード・フレイレ一家は土地と雨を求めて、半世紀前にその大きな森にやってきた。両方とも見つけたものの、アマゾン川南西部の荒れた森を手懐けるのは容易なことではなかった。1971年、一家がオウロ・プレット・ド・オエステの入植地にたどりついたとき、そこはジャングルを走る一本の道を囲むゴムの樹液採取基地でしかなかった。

 乾季のアマゾン特有の暑さのなか、79歳のガートルードは当時の厳しい暮らしと、そのなかでも失わなかった希望について話してくれた。森の材料で家を作った。電気はなく、食べ物はやっと探し当てた木の実だけという日もあった。家のそばには小川があった。川幅は、当時、5歳から12歳だった子供たちがぎりぎり飛び越せるくらい。その小川は、今では1メートルの幅もなく、一歩で軽くまたぐことができる。こうした小川が姿を消しつつあること、そしてそれを含む広範な水問題は、科学者たちを不吉な予感に駆り立てている。

 アメリカ合衆国とほぼ同じ面積をもち、世界の熱帯雨林の半分以上を占めるアマゾン川流域は、地球の陸上エコシステムの炭素サイクルに絶大な影響力をもつ。『サイエンス』誌に掲載された2009年の研究によると、2005年の大旱魃が招いたアマゾンの森林喪失によって放出された二酸化炭素の追加量は、ヨーロッパと日本をあわせた年間の二酸化炭素排出量に匹敵する。

 熱帯雨林の木が切り倒されるにつれて、林冠(森林の上層部)が失われるリスクは限界に近づいていると研究者たちは言う。つまり、「ここを超えると森林と流域の気候が激変して、熱帯雨林としてのアマゾンの死を引き起こす」ような「転換点」に近づいていると警告しているのだ。熱帯雨林が死んだあとに何が残るのかといえば、背の低い乾燥した森、あるいはサバンナ(熱帯草原)だ。アマゾン流域がこの転換点を超えれば、熱帯雨林がそれ自体を維持する能力を失ってしまう。樹木は流れる雲に十分な水分を供給できなくなり、生存に必要な量の雨を確保できなくなる。何千種もの生物が絶滅し、気候変動を抑える試みはすべて水泡に帰してしまう。……

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