政治

2つの「対等な競争相手」と対峙するアメリカ:通常戦力優位の喪失がもたらす「核の復権」

2022年2月18日

軍事的にも「唯一の超大国」の地位を失ったアメリカは、いま中国とロシアという「ニア・ピア・コンペティター(ほぼ対等な競争相手)」からの挑戦を同時に受ける可能性がある。冷戦後、核戦力を通常戦力から切り離された「オフリミット」として取り扱ってきたアメリカは、抑止力にふたたび核を組み込む体制作りを迫られている。

 現在の世界において、核・ミサイル脅威が深刻化している。北朝鮮は核ミサイルの配備を既に行っているとみられ、中国・ロシアは極超音速兵器を含む新型のミサイルの開発・配備を進めている。こうした核・ミサイル脅威に対して、日本を含む同盟国・友好国に「核の傘」を含む拡大抑止を提供しているのがアメリカである。

   冷戦終結後しばらくの間、アメリカは「唯一の超大国」としての地位を謳歌した。しかしイラク戦争の泥沼化によってアメリカの国力は消耗し、リーマンショックに端を発する世界経済危機と合わせてソフトパワー的なリーダーシップも低下した。加えて「アメリカ・ファースト」を掲げ、時として場当たり的でさえあったトランプ政権の対外政策は、米国の政策の一貫性に対する信頼感を毀損した。

   それと並行するかのように、中国が台頭し、ロシアが復活したことによって、ハードパワーにおけるバランスも変化し、大国間の戦略的競争が展開する時代になった。

   現在の米国は、2つの核兵器を持った大国との戦争を抑止するという戦略的課題を抱えている。しかし米国は通常戦力における圧倒的な優位を失っており、通常戦力だけで中ロ双方との紛争に同時に対処することは難しいと考えられている。そこで浮上するのが、核兵器である。しかし、米国の核戦力における優位も、絶対的なものではなくなってきている。本稿では、ミサイル脅威が深刻化する中、アメリカが現在抱えている難題について論じる。……

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