ビジネスの場にアートを
ここ数年のことである。「アート思考」なる言葉がビジネスの世界で広まったのは。
理詰めで考えを構築する「ロジカル・シンキング」に対して、自由かつ柔軟にものごとを考える「アート・シンキング」の必要性が、取り沙汰されるようになったのだ。
先行き不透明で正解が容易に見つからない時代、従来の課題解決型の思考法では太刀打ちできない。課題をみずから生み出し、ゼロからイチをつくる創造的な思考が、ビジネスの現場で必要とされるというのが、その意味するところである。
アート思考が唱えられるようになった時期は、テクノロジーの進展で人間の仕事がAI(人工知能)に奪われるという言説が台頭したのと、同じタイミングだった。機械的・論理的な機能はコンピュータに明け渡すとして、我々は「人間らしい」仕事に集中しよう、その際に必要なのが、人しか持ち得ない感性や創造性を武器にするアート思考なのだ、といった理屈だろうか。……