[ロンドン発(ロイター)] ロシアのウクライナ侵攻に関連するサイバー攻撃によって、保険会社に数十億ドルが請求される可能性が出ている。米国政府は3月下旬、ロシアが複数の米国企業を狙ったハッキングを試みていることに言及した。現時点で攻撃は確認されていないものの、欧米の金融規制当局は各銀行にサイバー攻撃の危険性を警告している。
サイバー攻撃による欧米の保険会社の損失は既に昨年から上昇しており、補償費用の増加やランサムウェア被害の拡大に対応するため、保険料の引き上げを余儀なくされている。業界関係者によれば、もしロシアが大規模なサイバー攻撃を行い、複数の国に影響を及ぼした場合、総額200億ドル以上の保険金請求につながる可能性があるという。これは米国の大型ハリケーン被害による保険金請求額と同じ水準だ。
格付け会社フィッチによると、サイバー保険の市場規模は、2020年に米国だけで総額27億ドル超。サイバー保険はハッキングされたネットワークの修復、事業中断損失、ランサムウェアによる身代金支払いなどを補償するものであり、戦争やいわゆる「state-sponsored actors(国家に支援された行為者)」による攻撃は対象外としている。
しかし一方で、サイバー攻撃の加害者特定は困難な場合が多い。英ロイズ保険組合のブルース・カーネギー・ブラウン会長は「何が国家による支援なのか、定義するのはかなり難しい」と指摘。「保険は新たな事態に直面しており、約款の文言を見直して、顧客に対して補償範囲を明確にしておく必要がある」 と述べた。……