政治

ウクライナ危機は中国「エネルギー安全保障戦略」の何を変えるか

2022年4月19日

世界最大のエネルギー消費国・中国にとってエネルギー安全保障確保は重要課題であり、とりわけ輸入依存度の高い石油とガスの安定供給確保が焦点だった。ウクライナ危機で国際エネルギー市場が不安定化する中、ロシア産のエネルギーの確保やエネルギービジネス参画に関連し、中国が自国のエネルギー安全保障強化のため戦略的に動いていく可能性が高い。

 ウクライナ危機が深刻化する中、国際エネルギー市場では、原油、天然ガス・液化天然ガス(LNG)、石炭などの価格が高騰し、市場不安定化が加速化している。その状況下、ロシア依存度が高い欧州を中心に、世界的にエネルギー安定供給確保とエネルギー安全保障重視の流れが急速に強まっている。

 現在、エネルギー安全保障政策の展開は特に欧州の動向が世界の注目を集めているが、翻って見ると世界最大のエネルギー消費国であり、最大の石油輸入国である中国にとってもエネルギー安全保障問題は極めて重要な課題である。そこで本稿では、中国のエネルギー安全保障問題を巡る現状と課題、そしてウクライナ危機を踏まえての中国のエネルギー安全保障戦略へのインプリケーションについて論じてみることとしたい。

エネルギー自給率は高いが石油・ガスは輸入に高依存

 中国の一次エネルギー消費は2020年時点で145エクサジュール(10の18乗ジュール、以下EJ)で、世界シェア26%を占める最大のエネルギー消費国である。第2位の米国(シェア16%)を大きく引き離す圧倒的に巨大な消費国となっている。エネルギー消費の内訳は、石炭が最大のエネルギー源でシェア57%、次いで石油20%、ガス8%、水力8%、再生可能エネルギー5%、原子力2%という構成だ。

 中国は国内で石炭、石油、天然ガス全てを生産する資源国でもあり、国産エネルギーである水力・再エネ・原子力と合わせて、一次エネルギーの国内生産は2020年には合計119EJとなっている。一次エネルギー全体で見た自給率は82%と、主要国の中でも相対的に高位にある(ちなみに、日本の自給率はわずか13%)。その点では、ほぼ自給に近い中国であるが、長期のトレンドを見ると1990年代の前半までは自給率100%であったものが、徐々に80%前後まで低下してきた流れがある。これはとりもなおさず、中国のエネルギー需要の拡大が極めて急速で、国内エネルギー生産の伸びを遥かに上回るペースで増加してきたからに他ならない。……

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