政治

ミアシャイマー「攻撃的リアリズム」の読み方――ウクライナ侵攻「代理戦争論」「陰謀論」の根本的誤り(上)

2022年4月22日


<span>ミアシャイマー「攻撃的リアリズム」の読み方――ウクライナ侵攻「代理戦争論」「陰謀論」の根本的誤り(上)</span>
ジョン・ミアシャイマー・シカゴ大学教授(同氏HPより)

ウクライナ「代理戦争」論者、陰謀論者が俄かに引き合いに出す政治学者ミアシャイマーだが、多くの場合その攻撃的リアリズム理論は誤用されている。ミアシャイマーはアメリカ外交がウクライナに「緩衝地帯」以上の地位を与えたことを批判しており、「アメリカがウクライナをけしかけて戦争させた」などとは述べていない。 (後編はこちらのリンク先からお読みいただけます)

 ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、話題となっているのが、米国シカゴ大学の著名な国際政治学者ジョン・ミアシャイマー(1947~)である。ミアシャイマーは、2014年のロシアによるクリミア併合時に、NATO(北大西洋条約機構)の東方拡大が構造的要因であるという見解を示すと同時に、その後のウクライナ政府とNATOとの接近の危険性に警鐘を鳴らしていた学者だ。

 ミアシャイマーの見解はロシア政府にも取り上げられ、日本における「陰謀論者」にまで影響を与えてしまっている。彼らはミアシャイマーの言説を参照して、“ロシアは悪くない、戦争はNATOの代理戦争だ”といったことを唱える。人命が失われている状況の中で、ミアシャイマーの知名度を、特定の政治イデオロギー立場を主張するために悪用する風潮には警鐘を鳴らさざるを得ない。

 他方において、ミアシャイマーその人が陰謀論者だとか、正気を失った異常な国際政治学者だとかと評するのも、極端である。ミアシャイマーは、彼なりの一貫した理論的見解の中で、1つの見解を提示している。それは戦争の最中にあっても、冷静に捉えるべきである。

 そこでこの小論では、ミアシャイマーはいったい何を訴えているのか、そこにどのような洞察と問題が見られるのか、われわれは今ミアシャイマーの見解をどう受け止めるべきなのか、などについて、なるべく客観的な視点を提供することを試みてみたい。……

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