政治

ミアシャイマー「攻撃的リアリズム」の読み方――ウクライナ侵攻「代理戦争論」「陰謀論」の根本的誤り(下)

2022年4月22日

ミアシャイマーの思考の中心には、中国封じ込めを目的とするアメリカ主導のバランシング同盟形成があり、そこにロシアも参加させる発想がある。ゆえにミアシャイマーからすれば、2014年マイダン革命以降のウクライナをめぐる米露間の緊張は、欧州の事情でロシアとの間に火種を持つという構造的レベルでの誤りを意味しただろう。 (前編はこちらのリンク先からお読みいただけます)

*『ミアシャイマー「攻撃的リアリズム」の読み方――ウクライナ侵攻「代理戦争論」「陰謀論」の根本的誤り』(上)は、こちらからお読みいただけます。

 前稿では、ミアシャイマーがアメリカ外交政策に批判を向ける際のロジックを見たが、それを妥当とするかは、読者が「攻撃的リアリズム」の世界観を受け入れるかに依るだろう。

 私見では、ミアシャイマーの洞察の基本的な部分は、間違っていない。ウクライナのNATO加盟の可能性が、今回のロシア・ウクライナ戦争の構造的要因となっていることを否定するのは難しい。なんといっても、戦争を開始したウラジーミル・プーチン露大統領自身が、そのように説明している。

 ただし、ミアシャイマーが国際法の要素を全く考慮していないことを度外視する場合でも、なお問題になるのは、NATOがウクライナの加盟を認めないまま、ロシアが戦争を開始した、という事実である。つまり戦争の原因は、ウクライナを加盟させる「さらなるNATO東方拡大」ではありえる。しかし、実際に発生した「これまでの(=今ある)NATO東方拡大」が原因ではないのである。……

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