経済・ビジネス

NS1供給削減、サハリン2大統領令――牙を剥くロシア「エネルギー武器化」戦略

2022年7月5日

ロシアがドイツへの天然ガスパイプライン、ノルドストリーム1(NS1)の供給量を60%減らしたことで、大手エネ企業「ユニパー」が経営難に陥った。ロシアによる「エネルギーの武器化」が現実化する中、サハリン2プロジェクトの権益譲渡を突きつけられた日本も待ったなしの危機対応が必要だ。

 ドイツの大手電力・ガス企業ユニパーが6月29日午後8時22分に投資家向けに公表した臨時情報(アドホック情報)は、欧州の経済界全体に強い衝撃を与えた。ウラジーミル・プーチン大統領の欧州向けガス削減政策が、最初の「犠牲者」を生んだからだ。

 ユニパーは、「ロシアの国営ガス企業ガスプロムが今年6月16日以来、NS1を通じた1日のガス供給量を通常よりも60%減らしたため、我が社の経済的負担が大きくなっている。このため我が社はドイツ政府との間で、経営を安定化するための措置について協議を始めた。政府から緊急融資や保証、さらに政府の我が社への資本参加(部分的国有化)が行われる可能性もある」と発表した。ウクライナ戦争との関連で、ドイツの大手エネ企業が業績悪化のために政府支援を要請したのは、初めてだ。同社の株価は、6月30日に一時約22%下落した。

 ユニパーは、ロシアからのガス輸入量がドイツで最も多い企業だ。同社が2021年に輸入した天然ガス3700億キロワット時(kWh)の内、54%にあたる2000億kWhがロシアからの輸入だった。

 しかし同社はガスプロムがガス供給量を60%減らしたために、スポット市場と呼ばれる卸売市場で短期的にガスを調達せざるを得なかった。だがガスのスポット価格は、ウクライナ戦争が起きて以降高騰している。……

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