政治

「物価上昇の鈍化」で好悪材料ぶつかる米経済、そして見逃せない「円高」シナリオ

2022年8月15日

7月の消費者物価指数によるポジティブ・サプライズは米国株相場を押し上げた。ただインフレ沈静からはほど遠く、バイデン政権の難局は依然として続いている。一方、景気が悪化すれば米企業は、20年ぶりの水準にあるドル高の痛みを吸収しきれなくなるかもしれない。来年にかけて円高転換のリスクシナリオも想定する必要がある。

 インフレが加速するのか、鎮静するのか。景気は後退するのか、持ちこたえるのか。企業業績は……。日本がお盆休みの気分に浸る8月半ば、米国経済をめぐって世界中が花占いをしているように、気もそぞろとなっている。

 8月10日もそんな日だった。この日に発表されたのは7月の米国の消費者物価指数。6月の消費者物価発表の際には、前月比1.3%増、前年同月比9.1%増と予想を大きく上回る数字だったので、インフレの亢進に怯える金融・株式市場に激震が走った。ところが、市場参加者が固唾を飲んで見守った7月の物価は前月比横ばい、前年同月比8.5%増と、インフレ圧力は小緩んだのだ。

「ゼロ・インフレーション」。ジョー・バイデン米大統領は7月の「前月比横ばい」に、こうはしゃぎ「前年同月比はどうなんだ」と失笑を買った。それにしても、物価騰勢一服の立役者はガソリンである。6月の前月比11.2%の上昇から一転、7月は同7.7%の下落になった。原油価格が調整局面に入ったおかげだ。電気・ガスなどの光熱費や航空料金といった交通サービス費の下げや伸び鈍化も目立った。

物価上昇率の朗報と半導体不況の気配 

 こうした物価上昇率の鈍化は、米経済にとっては一粒で二度おいしいニュースである。ひとつは、インフレ抑制に必要とされる政策金利引き上げの幅が、小さくて済む期待が出てきたこと。もうひとつは、実質成長率の押し上げだ。7月の物価統計発表を受けて、アトランタ連銀の集計するGDP Now(足元景気予測)は、7〜9月期が2.5%まで持ち直した。……

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