インフレが加速するのか、鎮静するのか。景気は後退するのか、持ちこたえるのか。企業業績は……。日本がお盆休みの気分に浸る8月半ば、米国経済をめぐって世界中が花占いをしているように、気もそぞろとなっている。
8月10日もそんな日だった。この日に発表されたのは7月の米国の消費者物価指数。6月の消費者物価発表の際には、前月比1.3%増、前年同月比9.1%増と予想を大きく上回る数字だったので、インフレの亢進に怯える金融・株式市場に激震が走った。ところが、市場参加者が固唾を飲んで見守った7月の物価は前月比横ばい、前年同月比8.5%増と、インフレ圧力は小緩んだのだ。
「ゼロ・インフレーション」。ジョー・バイデン米大統領は7月の「前月比横ばい」に、こうはしゃぎ「前年同月比はどうなんだ」と失笑を買った。それにしても、物価騰勢一服の立役者はガソリンである。6月の前月比11.2%の上昇から一転、7月は同7.7%の下落になった。原油価格が調整局面に入ったおかげだ。電気・ガスなどの光熱費や航空料金といった交通サービス費の下げや伸び鈍化も目立った。
物価上昇率の朗報と半導体不況の気配
こうした物価上昇率の鈍化は、米経済にとっては一粒で二度おいしいニュースである。ひとつは、インフレ抑制に必要とされる政策金利引き上げの幅が、小さくて済む期待が出てきたこと。もうひとつは、実質成長率の押し上げだ。7月の物価統計発表を受けて、アトランタ連銀の集計するGDP Now(足元景気予測)は、7〜9月期が2.5%まで持ち直した。……