政治

NSC(国家安全保障会議)――戦略策定機関としての青写真と現在地[上]

2022年10月19日


<span>NSC(国家安全保障会議)――戦略策定機関としての青写真と現在地[上]</span>

かつて「安全保障」という言葉から私たちは、いわば不可抗力として日本を襲う緊急事態への対応を想起した。だが、中国の台頭など国際環境が厳しさを増すなかで、安全保障はよりプロアクティブに、中長期的に国際環境それ自体も改善して行く概念へと変わっている。その戦略作りの司令塔として2013年に創設されたNSCの現状と課題をレビューする。(こちらの後編へ続きます)

 凶弾に斃れた安倍晋三元総理の「遺産」の一つは、「NSC(国家安全保障会議)」創設である。

 2022年8月2日のナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問に反発した中国は、台湾周辺で大規模な軍事演習を実施した。この間に中国は、日本のEEZ(排他的経済水域)内にも5発の弾道ミサイルを撃ち込んだ。これを受けて日本政府は12日に、東アジア情勢を議題として岸田文雄内閣改造後初のNSC四大臣会合を開催した。

 また台湾問題の余波で日中外相会談が直前で中止になると、17日に「NSS(National Security Secretariat=内閣官房国家安全保障局)」のトップである秋葉剛男局長が訪中して、中国外交を統括する楊潔篪・共産党政治局員と会談し、関係修復を図るなど存在感を示した。NSSは、閣僚級の政治的合議体であるNSCを補佐する、事務方の行政スタッフ組織である。

 安全保障課題への対応は、もはや外務省、防衛省といった一官庁の所管にとどまらない。内閣主導の下で、政府全体による取り組みが求められている。そして日本の安全保障政策の「司令塔」として第二次安倍政権期の2013年12月に創設されたのが、NSCである。……

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