政治

NSC(国家安全保障会議)――戦略策定機関としての青写真と現在地[下]

2022年10月20日

閣議決定で政府の意思が決まる日本では、NSCは「司令塔」役を求められながらも最終的な決定役にはなり得ない。あるいは尖閣諸島に漁民を装った武装集団が上陸するなど、危機管理と安全保障をまたぐ「グレーゾーン」では内閣危機管理監などと連携する。NSCは日本の統治システムから生じるいくつかの重要課題に、現場で向き合う存在だ。(こちらの前編から続きます)

 2014年のマレーシア航空17便撃墜事件では、自衛隊機が捜索救助活動をおこなったが、当時のNSS次長だった兼原信克氏によると、NSCに諮ったことでこれまでにないスピードで決定が下ったという。

 また、スタッフ組織の強化にも意義を見出せる。新設されたNSS局長は、内閣官房副長官に準ずる内閣危機管理監(危機管理に関する実務トップ)と同格として、従来の内閣安全保障部門のスタッフ組織のトップであった安全保障・危機管理担当の内閣官房副長官補(事務次官級)より格上に位置づけられた。

 そして同局長が、米国家安全保障問題担当大統領補佐官をはじめ、諸外国のNSCの対外的窓口のカウンターパートとして明確化された。歴代のNSS局長は頻繁に外遊している。NSS設置以前には、危機管理も担当する内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)が外遊することは不可能であった。8月の秋葉=楊会談が可能であったのにも、こうした文脈がある。

日本のインテリジェンスの結節点にも

 さらにNSSは、従来の安危の安全保障部門の一部と、外務省・防衛省・警察庁などから投入された人員が合流して誕生し、安危の事態対処・危機管理部門は内閣官房副長官補(事態対処・危機管理担当)およびそのスタッフ集団(通称「事態室」)として残ることとなったため、内閣官房全体に占める安全保障・危機管理担当スタッフの総数は増強されることになり、スタッフ組織のマンパワーが増大した。……

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