政治

「緑の重商主義」が世界を覆う:日本は20兆円「GX経済移行債」で何を目指すか

2023年3月5日


<span>「緑の重商主義」が世界を覆う:日本は20兆円「GX経済移行債」で何を目指すか</span>

「米国の保護主義に対するEUの批判は説得力に乏しい。EU自身が、バイデン氏と共通性のある政策を先に打ち出しているではないか」と英誌『エコノミスト』は指摘する。脱炭素と結びつけた排他的な産業強化の動きは、世界の主要市場で否応なしに強まって行くだろう。岸田政権のGX戦略もこうした流れを視界に捉える。そして、そのエンジンとなる20兆円は、日本の財政の硬直性を破るきっかけになるかもしれない。

 米国と欧州がいま地球温暖化対策を大義名分に激しいつばぜり合いを演じている。日本の岸田文雄政権がGX(グリーントランスフォーメーション)と呼ぶ脱炭素戦略を、経済政策の大黒柱に位置付けた。脱炭素に向けたルール作りや技術開発で自らの産業競争力を強化する。グリーンの衣をまとった産業囲い込み、いわば緑の重商主義が世界を覆っている。

 岸田政権は2月10日に「GX実現に向けた基本方針」として閣議決定した。2050年に温暖化ガス排出の実質ゼロという国際公約を実現するために、官民が目標とする投資額は今後10年間で150兆円余り。国内の投資が少ないとされる日本にとって150兆円は相当な規模であるが、民間企業だけでは不確実性の高い投資の実行は難しい。

産業政策としての米「インフレ抑制法」

 脱炭素で新技術の産業化に成功すれば、世界中の需要を取り込めるカネのなる木となる。ただそうは言っても、事業を短期的に採算に乗せるのは難しい。そこで脱炭素に向けた「死の谷」を飛び越えるために、政府の出番となる。主要国ではまず欧州が温暖化対策を看板に緑の産業政策で先鞭をつけ、米国はバイデン政権が一気に巻き返しに出た。

 米国では昨年8月にインフレ抑制法が成立した。折からの物価高騰にかこつけてインフレ対策と銘打っているが、この法律の目玉は気候変動対策などに対する10年間で3690億ドル(約50兆円)の財政支援だ。再生可能エネルギーを導入すれば、税金をオマケする「税額控除」を広範に採用している。JETROの資料を元に一例を挙げよう。……

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