経済・ビジネス

【Analysis】太平洋の島国ナウルが深海底鉱物資源をめぐる論争の中心に

2023年5月7日

クリーンエネルギーの普及にはバッテリー用のニッケルなど鉱物資源が欠かせない。だがその採掘は脱炭素への前進なのか、環境破壊か。ナウルが進める深海採掘計画をめぐり論争が勃発している。

[ロイター]世界の海底から脱炭素に資するニッケルなどの鉱物資源(エナジー・トランジション・ミネラルズ)を採掘すべきか――海に沈みつつある太平洋の島国ナウルとおよそ1万1000人の国民が、白熱する論争の渦中にいる。

 この論争では、環境を保全するための最善策は何かということに関するビジョンが真っ向から対立している。ナウル政府は、気候変動による二酸化炭素の排出を抑制すべく世界規模での効率的な電化を呼びかけており、そのためにはまず、より多くの鉱物が必要だとする。一方、環境保護論者は、海底の採掘はかけがえのない生態系の生物多様性を脅かすと信じて疑わない。

 国連の国際海底機構(ISA)は、いずれの国の管轄権も及ばない海域での採掘を許可・規制する権限を有する。本部のあるジャマイカでは3月末まで数週間にわたって、水深4000~6000メートルの深海の海底からポリメタルノジュール(多金属団塊)を採掘する規制基準に関して協議が行われたが、最終決定にはいたらなかった。今後数週間、協議は続行されるが、2021年にナウルが発動したプロセスにより、ISAは基準策定の成否にかかわらず、今年7月から同国海域における深海採掘の申請を受け付けなければならない。

 環境保護論者は、遠からず採掘会社が世界中の海底で自由に操業できるようになることを懸念するが、ナウルの高官たちは芽生えた産業の前進に寄与するような確固たる基準を設けるよう呼びかけている。「フリーハンドを与えろと言っているわけではない」と、ナウルの国連大使及びISA委員を務めるマーゴ・デイエは語り、こう続けた。「私たちの関心は、法的に問題がないことを確認したうえで責任を持って開発を行うことにある」。……

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