<span>身体のないAIが変えるかもしれない「売春」の定義</span>
作家の鈴木涼美さん

ChatGPTをはじめとする生成AIの急速な普及が、私たちの在り方を根本から問い直しつつある。情報を検索する行為も、文章を書く行為も、そしてゆくゆくは人と人とが出会い、関係を結ぶ過程さえもAIに委ねられていくかもしれない。恋愛や性愛、女性の身体といった、普遍的かつ根源的なテーマを取り上げてきた作家の鈴木涼美さんは、こうした時代の変化に何を思うのだろうか。

紙の辞書もAIも私にとっては同じ「外部メモリ」

 私自身、ChatGPTは使っていますが、それはたとえば、「台湾の空港から台北市街に行くには何が便利か」とか、「タイトルに入れたフランス語のニュアンスが合っているか」とか、そうしたことを調べる程度です。

 以前は特に語学関連などで調べものがあると、すぐに親(註:法政大学名誉教授の鈴木晶氏)に電話して聞く癖があったのですが、親もだいぶ高齢になったのでChatGPTのほうが正確だなと…(笑)。つまり、私にとってAIで調べものをするのは、「データをたくさん持っている人に聞く」という感覚で、外部メモリのような感じです。

 創作に関する相談や、書いた文章のチェックではまだ使ったことがありません。ただ、今後使える場面はきっとあるのだろうとは思っています。小説を書くとき、ある事件が何年に起きたかという年表が必要になることがありますが、そうしたデータを整理してもらうとか、あるいは「各国の中絶に関する法律の整備状況」をまとめてもらうとか、そういった作業はAIが得意な領域だと思います。今のところ、使うとしてもあくまで自分で裏をとったうえで参考までに、という感じですが。

 実は先日、校了直前まで小説のタイトルが決まらなくて……、今まで切羽詰まった時には広辞苑をパラパラとめくったり、類語辞典を引いたりしていたのですが、そうしたことをChatGPTなどに相談するのもありかもしれない、とは思い始めています。

 いずれにせよ、これまで使っていた紙の辞書もある種の外部メモリですから、AIに相談することに本質的な抵抗はありません。

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