権威ある学術雑誌への投稿数が急増している理由
ここ数年、生成AIはさまざまなニュースの主役を占め、世間を席巻している。揶揄や懸念もみられたなか、最近は“AI礼賛”が優勢を占めているように感じられる。
たとえば、AIに東京大学の入試問題を解かせたところ、首席相当の成績をたたき出した、とか。それはどう(いうプロンプト、すなわち指示文を以て)解かせたのかとか、どういった人間の補助があったのか、といった議論をほとんど通過しないまま、「もう勉強なんてしなくてもAIでなんとかなる」とか(どういうことやねん)、もはや東大生もAIで代替可能だとか(そうなのかもしれない)、そういう声が聞こえる。
AIはまったくもって、「正解」を出力することに長けているように見受けられる。若者としても、十全に信頼がおけそうな程度には。
本稿では、阿部前監督のニュースでも話題になった「生成AIに質問をして」「受けた回答通りの行動をとる」という箇所をピックアップして考えてみたい。
「最近の若者はすぐAIに正解を求める」
こう言ってもいいくらいに、AIへの信頼はますます高まっている。とはいえ、それは若者だけの動きではないらしい。
筆者は研究者であり、経営組織論という分野を専門としている。その分野では世界最高峰と目される『Organization Science』というジャーナル(学術雑誌)が、先日、AIに関する特集論文を発表した。警鐘を鳴らす意味合いが強い論文だった。
曰く、同誌への投稿数は生成AIが本格的に登場して以降、42%増加したそうだ。かつ、文章の質は劣化しているらしい。科学者もまた、AIに正解を求めている、ということを表す結果と言えるだろう。