社会

「正解を教えてくれ」は50年前にも存在していた――流行する「若者とAI」論を考える

2026年6月22日


<span>「正解を教えてくれ」は50年前にも存在していた――流行する「若者とAI」論を考える</span>
最近の若者はなんでもAIに答えを求めすぎる……?

読売ジャイアンツの阿部慎之助前監督が、18歳の娘に暴行を加えた疑いで逮捕された一件は、暴行を受けた長女が「ChatGPTに相談し児童相談所に通報した」という事実がある種、今の世を映す“象徴的な出来事”として捉えられている節がある。すなわち「最近の若者はなんでもAIに答えを求めすぎる」という論調だ。ただ、『Z世代化する社会』などの著作のある経営学者の舟津昌平氏は、「最近の若者はすぐに正解を求める」という記述が、1972年に発表された論文で既に認められると指摘する。

権威ある学術雑誌への投稿数が急増している理由

 ここ数年、生成AIはさまざまなニュースの主役を占め、世間を席巻している。揶揄や懸念もみられたなか、最近は“AI礼賛”が優勢を占めているように感じられる。

 たとえば、AIに東京大学の入試問題を解かせたところ、首席相当の成績をたたき出した、とか。それはどう(いうプロンプト、すなわち指示文を以て)解かせたのかとか、どういった人間の補助があったのか、といった議論をほとんど通過しないまま、「もう勉強なんてしなくてもAIでなんとかなる」とか(どういうことやねん)、もはや東大生もAIで代替可能だとか(そうなのかもしれない)、そういう声が聞こえる。

 AIはまったくもって、「正解」を出力することに長けているように見受けられる。若者としても、十全に信頼がおけそうな程度には。

 本稿では、阿部前監督のニュースでも話題になった「生成AIに質問をして」「受けた回答通りの行動をとる」という箇所をピックアップして考えてみたい。

「最近の若者はすぐAIに正解を求める」

 こう言ってもいいくらいに、AIへの信頼はますます高まっている。とはいえ、それは若者だけの動きではないらしい。

 筆者は研究者であり、経営組織論という分野を専門としている。その分野では世界最高峰と目される『Organization Science』というジャーナル(学術雑誌)が、先日、AIに関する特集論文を発表した。警鐘を鳴らす意味合いが強い論文だった。

 曰く、同誌への投稿数は生成AIが本格的に登場して以降、42%増加したそうだ。かつ、文章の質は劣化しているらしい。科学者もまた、AIに正解を求めている、ということを表す結果と言えるだろう。

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