特集|経済・ビジネス

Vol. 4

今回の利上げは「通過点」にすぎない――元日銀理事が読む「次の利上げ」と「消費減税論」への違和感

2026年7月9日


<span>今回の利上げは「通過点」にすぎない――元日銀理事が読む「次の利上げ」と「消費減税論」への違和感</span>
日本銀行

日本銀行は6月15日、16日で行われた金融政策決定会合で政策金利を1%へ引き上げた。「31年ぶりの水準」と大きく報じられたが、それは本当に歴史的な利上げなのだろうか。元日銀理事の門間一夫氏は「今回の利上げは、2年前から続くシナリオの一コマにすぎない」と語る。今後は1.5%、場合によっては2%程度まで利上げが進む可能性もあるという。

今回の利上げに「サプライズ」はない

 日銀はインフレ目標を2%と掲げており、2028年度まで物価上昇の見通しは大体2%程度だと分析しています。今回、利上げする前の政策金利は0.75%でした。金利から物価上昇率を差し引いた実質金利は大幅なマイナスです。日銀は約2年前から物価上昇率が2%程度で定着してくるのであれば、それに近い水準まで金利を上げていくことを決めており、大体半年に1度のペースで徐々に金利を上げている段階です。

 当然ながら、日銀は6月16日のその日に突然利上げを決めたというわけではなく、以前からのシナリオがあります。もちろん世の中の動向により物価が上下することで、利上げの方針が変わる可能性はありますが、「物価上昇率が大体2%程度に定着しそうだ」という見立てが変わらないのであれば、0.25%ずつ緩やかに利上げをしていくと思います。今回の利上げは特にサプライズではないのです。

 直近の物価上昇率は1.5%となっていますが、その中には政府が補助金を出してガソリン価格を抑えていたり、高校授業料を無償化したりといった特殊要因が混ざっています。中央銀行は中長期的な物価の安定を目標にしています。毎月見る数字には様々な要因が混ざりますので、表面的な数字に惑わされないように政策を考えているのです。

 今回の利上げで政策金利が1%に上がったことについて、「31年ぶりの水準」とメディアが報じました。日本は長くゼロ金利・マイナス金利が続いていたので、そこから正常化が始まれば「31年ぶり」という数字になるのは当然です。専門家から見れば、今回の利上げは節目ではなく、特別な意味合いを持つわけではありません。金利を着々と上げていく過程の中の一コマに過ぎないということです。実際に日本はこの2〜3年でデフレから抜け出して、物価も賃金も上がるようになったので、色々な数字が「数十年ぶり」になっています。
 
 では政策金利が2%でなければいけないのかというと、そこも厳密には分かりません。市場関係者の間では「0.75%は低すぎるが、1.5%程度であれば今の物価に見合うのではないか」という声もあります。日銀自身は正式には何も言っていませんが、どこまで利上げするのが妥当かについては、利上げのたびにその影響を見ながら考えるのだと思います。

 私自身も1.5%、もしかしたら2%程度まで上げなければならないと考えています。今の1%で利上げが止まる可能性は低いでしょう。

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