貿易統計が軒並み前年比マイナスとなる中で、対中輸出だけは昨年夏から急回復。ただし、本当に実需に基づくかは不透明。懸念される地政学リスクは、米政権交代後も消えそうにないという問題が――。
新型コロナウイルスの蔓延で、国境を超えたモノの動きが急減している。財務省が発表している貿易統計によると、2020年の日本から世界への輸出額と、世界から日本への輸入額の合計である「貿易総額」は136兆円あまりと前年に比べて12.4%減少した。輸出が68兆円と11.1%減、輸入が67兆円と13.7%減った。
3月の上旬、都内の郵便局の窓口で、高齢の女性が米国に小さな荷物を送ろうとしていた。通常ならば船便より早いSAL便で送るのだろうが、引き受けを停止していると言う。「では船便は」と女性が問うと、局員は「いつ到着するかまったく分からない」と答えていた。昨年4月以降、航空便国際線の大幅な減便などで、国境を超えた貨物輸送が大混乱。郵便も一部引き受けを停止する事態に追い込まれていた。昨年秋頃からは引き受け再開の動きが広がったが、1年近く経った今も混乱は続いている。
年間を通して輸出も輸入も1割以上減るというのは異常事態だが、リーマンショック後の2009年に比べると影響は小さい。2009年は輸出が33.1%減、輸入が34.8%減とまさに未曾有の減少になった。新型コロナで人の動きが止まったことで、観光などサービス業は大打撃を受けているが、製造業は影響が小さいことや、人々の生活スタイルが変わっても、生活必需品の消費などは変わっていないことが影響を比較的小さくしているのだろう。……