経済・ビジネス

仮想通貨犯罪は「金融包摂」のダークサイドにほかならない

2021年6月14日

差別や貧困で取り残された人も金融サービスにアクセスを――「金融包摂」の理想を追えば、管理に余った闇の領域も拡大する。米コロニアル・パイプラインを攻撃した犯罪集団「ダークサイド」は、そんな状況の鬼子と言える。サイバー攻撃の身代金に、エルサルバドルの法定通貨にと仮想通貨が存在感を増す背景には、足元のインフレリスクという爆弾を抱えながら新時代への対応にも苦しむ既存通貨システムの姿がある。

 全米を震撼させたパイプラインへのサーバー攻撃。米コロニアル・パイプラインが運営する燃料パイプラインが5月初旬に、ロシアまたは東欧を拠点にするとされる犯罪集団「ダークサイド(DarkSide)」によるランサムウエア(身代金ウイルス)攻撃を受け、燃料供給がストップした。コロニアル社はシステム復旧のために、440万ドル(約4億8000万円)相当の身代金を支払ったとされる。

 440万ドル相当と「相当」の2字を記したのはほかでもない。ドルなどの現金ではなく、暗号資産(仮想通貨)のビットコインでの支払い要求だったからだ。100万ドルならぬ440万ドルを取り返せ。それから1カ月たった6月7日、米司法省は犯行グループに支払われた身代金の大半を奪還したと発表した。

 会見には米連邦捜査局(FBI)幹部も同席した。ビットコインの取引履歴から、コロニアル社の身代金支払いに使われた63.7ビットコイン(約230万ドル相当)が特定のアドレス(ネット上の住所)に送金されたことを突き止め、差し押さえたという。

 この件については謎めいた情報が飛び交った。5月14日にはダークサイドが活動を停止したことが明らかになった。米セキュリティ会社ファイア・アイは、前日の13日からダークサイドが犯罪活動に使っているインフラにアクセスできなくなったと発表。米セキュリティ情報サイト、クレブス・オン・セキュリティは、ダークサイドがサーバーを差し押さえられただけでなく、暗号資産も盗まれたとした。……

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