データを新しい石油だと主張する全ての人にはこう言おう。「ほら、新しい『グレート・ゲーム』が始まったよ」――と。今年1月4日、米ユーラシア・グループが発表した2021年版グローバル10大リスク(Top Risks 2021)は、5番目のリスクとして「グローバルデータの因果応報」を挙げていた。
中国ネット配車の滴滴出行(ディディ)が米国で株式を公開した直後に、中国当局は同社に投網をかけた。米欧そして日本が中国に自国のデータを抜き取られることを心配しているさなかに、その中国当局が自国企業にデータ管理を振りかざす。一瞬、戸惑いを覚えるような出来事は、データをめぐる「グレート・ゲーム」を象徴する。
ユーラシア・グループの先見性に座布団1枚を進呈しつつ、今回のディディ騒動を整理しておこう。ディディは中国版のウーバーで、スマホのアプリなどで配車サービスを頻繁に利用する人(アクティブ・ユーザー)は約5億人にのぼる。中国人の交通の足というべきディディが7月4日、突然に中国のアプリストアから削除されたのだ。
存在感を増す監視者「国家インターネット情報弁公室(CAC)」
中国の国家インターネット情報弁公室(Cyberspace Administration of China:CAC)が7月2日、ディディに対して「国家安全法」および「サイバーセキュリティ法」に基づき審査を実施すると発表。このサイバーセキュリティ審査の期間中はディディに対して、「新規ユーザー登録を停止することを要求する」と通告した。かくてディディは新規登録の停止を余儀なくされた。……