経済・ビジネス

中国は米国の半導体「技術封鎖」を突破するか

2021年12月6日


<span>中国は米国の半導体「技術封鎖」を突破するか</span>

米政府による中国半導体産業封じ込めは、世界第2位のスマホメーカーだったファーウェイをわずか1年足らずで脱落させた。習近平政権が期待をかけるSMICも技術的な壁にぶつかっている。だが、中国が台湾を手に入れ、手詰まりを一気に打開しようとする可能性もある。

 半導体は需給逼迫が長期化する見通しが強まるとともに、冷戦状態の米中両国の共通の弱点として、世界の半導体メーカーや装置、材料業界も巻き込んだ産業冷戦の最前線となった。米バイデン政権は最先端の半導体と生産設備の対中供給を封じることで優位に立ちつつあるが、米国自身の台湾、韓国依存の構造は続く。その中で、台湾のTSMCはスマホ、パソコンだけでなく、スーパーコンピューター、自動運転、暗号通貨など先端技術の根幹をも押さえるかつてない製造業となった。台湾、韓国だけでなく、米国、日本、欧州で進む半導体生産ラインへの投資は成功するのか、半導体入手に苦しむ中国は沖合200キロの距離にあるTSMCの工場群に手を延ばす誘惑に駆られないか、世界は半導体を巡る危険な時間にさしかかった。

米中ともに対外依存が脆弱性

 80年前の1941年12月8日、日本は真珠湾奇襲攻撃とともに太平洋戦争に突入した。開戦決断の大きな要素となったのが、4カ月前の8月に始まった米国による対日石油禁輸だったことはよく知られる。当時の日本は石油需要の8割以上が軍需で、石油の在庫量、調達力が継戦能力を規定していたからだ。現代に置き換えれば、半導体が石油と同じ重みを持つ物資だろう。

 中国(香港含む)は今世紀に入って、半導体貿易で巨額赤字が続き、米国は2016年以降、赤字が続いている。UNCTAD(国連貿易開発会議)の統計によれば、2020年には中国(香港含む)が2369億ドル、米国も39億ドルの赤字を半導体貿易で記録した。両国の赤字を埋めたのが、台、韓、日、シンガポール、マレーシアなどだ。中国は輸出する電子製品に組み込む半導体を輸入しているため、内需だけでみれば半導体貿易の実質赤字は統計数値より小さいが、中国の主力産業が輸入半導体に全面依存している事実に変わりはない。米国は逆に見た目では半導体貿易の赤字は少ないが、輸入される電子・電機製品、自動車には台、韓、日などが生産する半導体が大量に組み込まれており、ヴァーチャル輸入量は大きい。米中ともに半導体の対外依存が大きな脆弱性となっている。

 

米国が台湾と並ぶTSMCの牙城に

 2018年に始まった米中冷戦のなかで、米国は一貫して半導体を中国攻撃の武器としてきた。米政府の許可なしで製品の販売や技術移転を禁止する対象企業を定めた商務省のエンティティリストには華為技術(ファーウェイ)、中芯国際集成電路製造(SMIC)、国家高性能IC上海設計中心、信維微電子など中国の半導体関係企業・組織が並ぶ。米政府の規制は米国企業の技術を部分的にせよ利用した外国企業にも適用され、先端半導体製造に必要な極端紫外線露光装置(EUVL)を世界で唯一生産できるオランダのASML社の対中輸出も制限されている。この措置のインパクトは一時、スマホで世界第2位のシェアを持ち、米アップルのiPhone、韓国・サムスン電子のギャラクシーと性能で覇を競っていたファーウェイがTSMCに生産委託していた回路線幅5ナノメートルの通信用半導体の調達を米国に封じられ、1年足らずでスマホの主要メーカーから脱落したことでもうかがえる。……

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