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「百年なかった大変局」に「中ロ蜜月」で臨んだ習近平の進退両難

2022年4月26日

習近平は「世界は不安定な変革期に入った」との認識のもと、対米持久戦の備えとしてロシア接近を演出した。しかし、中国共産党には鄧小平路線の経済重視という「正しい結論」も併存する。経済成長を実現してきた「西側主催」の国際社会に止まるか、あるいはロシアとともにそこから出るか――ウクライナ戦争でロシアとの連盟が悪手となるのは確実だが、その軌道修正は習近平の三選を危うくする。

現行国際秩序から最大の利益を得ている中国

 ロシアのウクライナ侵攻は、あっという間に世界を大きく変えた。どういう終わり方をしようと、ロシアに極めて不利なポスト・ウクライナ戦争体制が出来上がる可能性が強まっている。NATO(北大西洋条約機構)とEU(欧州連合)は、プーチン路線が続く限り、ロシアを全面的に押さえ込み、ロシアとの政経分断も止むなしと決意したようだ。NATOとEUには、すでに欧州にある多くの旧ソ連の国々が参加している。これに日本を含むその他の有志国も加わり、奇しくも東西冷戦時代の「西側陣営」が、さらに大きくなって復活したのだ。

 米国は昨年の11月頃からロシアによるウクライナ侵攻に対し警告を発してきた。中国もロシアの動きに気づかないはずがない。にもかかわらず2月4日に華やかに習近平・プーチン会談を行い、中ロ蜜月を演出した。その時に発出された長文の共同声明は、よく読むと慎重な言い回しが多く中国がロシアに全面的に肩入れする内容とはなっていないのだが、「中ロの新型国家関係は冷戦時代の軍事政治同盟モデルより優れている。両国の友好に尽きるところはなく、協力に禁止区域はない」と書き込んだことにより、中ロ関係は同盟関係以上のものとなったと見られてしまった。

   2月24日、ロシアは、その共同声明において両国が断固守ると誓った国連憲章の原則を踏みにじってウクライナに侵攻した。これに対し、中国はロシアを非難せず、実質ロシア側に立っていると見られるような行動に終始している。中ロ対西側の対立の構図が出来上がり始めたのだ。

   だが、中国は「新冷戦」の出現を恐れている。ブロック対立を回避したいのだ。3月15日に中国の張軍国連大使が「世界は新冷戦を必要としていない」と述べたのも、同じ意味だ。新冷戦はイデオロギー的、地政学的なブロックの間の対立を意味し、経済の分断を意味する。グローバル経済とそれを支える国際秩序の大きな変容を意味し、それから最大の利益を得てきた中国の持続的経済発展を危機に陥れる。西側陣営が主催する「国際社会」から抜け出すことは難しいのだ。……

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