下げ相場を演出した「2人のP」
Sell in May(5月の売り)。相場格言を地で行くように、世界の株式市場が調整局面に入っている。なかでもニューヨーク・ダウ工業株30種平均は5月13日で終わる週まで、7週連続で下落した。週間続落記録としては、ITバブル崩壊を受けた2001年5~7月以来、21年ぶりの長さとなった。
2人のPが下げ相場を演出した。資源インフレに拍車をかけた、ウラジーミル・プーチン大統領の率いるロシアのウクライナ侵攻。インフレ抑制へと必死に金融引き締めのブレーキを踏む、ジェローム・パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長。一緒に並べるのはどうかと思うが、プーチン氏とパウエル氏である。
そしてこの経営者の表情からも笑顔が消えていた。ちょうど1年前、金の卵を産むガチョウの絵をバックに、空前の好決算を発表した孫正義ソフトバンクグループ会長である。22年3月期が1兆7080億円もの空前の最終赤字となった主因は、何と言っても世界のハイテク企業に投資するビション・ファンド1と2の投資損失だ。
天国と地獄。投資損益は21年3月期の6兆134億円の利益から、3兆399億円の損失へと、1年間で9兆533億円も悪化した。投資損失の大部分は保有株式の評価損であって、株価が戻れば消えるとの弁明も聞こえる。だがその評価損益の落ち込みは半端ではない。すなわち前の年の5兆8971億円の評価益から4兆8179億円の評価損へ10兆7148億円も悪化したのだ。……