社会

ナイジェリア水上スラム「マココ」が映し出す光と影

2022年12月18日


<span>ナイジェリア水上スラム「マココ」が映し出す光と影</span>
マココの水路の始発・終点(筆者提供、以下同)

ナイジェリアで急速に発展している商業都市ラゴスでは、地価の上昇に伴い、「マココ」と呼ばれる水上スラムへの立ち退き圧力が高まっている。しかしそれは25万人もの人々が住居を失うことを意味する。行政サービスが行き届かず、水道や電気のインフラも脆弱で、長らく地図上にさえ存在していなかったマココは、ラゴスの光と影を映し出す存在だ。

 ナイジェリア最大の商業都市ラゴスには、「マココ(英語表記:Makoko)」というスラムがある。アフリカで最もユニークな都心部のスラム街の1つで、水上に約25万人が住んでいると推定されているが、誰も正確な数値は把握していない。彼らの住居はラゴス潟湖沿いに張り巡らされた水路の上に立っており、 住民はカヌーのようなボートでゴミだらけの真っ黒な水の上を移動する。

 この世界最大規模の水上スラムには、幾度となく立ち退き話が出てきた。2000万人超が暮らすラゴスの急速な発展に伴う地価の上昇などにより、ラゴス州政府からは都市再開発計画も発表されている。しかし、漁師として生計を立てている住民が多い中、マココ再開発・住居移転は彼らにとって死活問題だ。

 今回はそんなマココの現状をお届けしたい。

漁業集落として始まったマココ

 マココは19世紀ごろに漁業集落として始まったコミュニティーだ。漁師のほとんどは、ナイジェリア南部や、隣国のベナン共和国からこの地域に移り住んだ。そのため、現在のマココのコミュニティーは複数の言語と文化が混ざり合っている。中でも話者が多いのが、ベナン共和国の公用語であるフランス語だ。彼ら漁師は現在もエビ、カニやサバなどの魚介類を獲ってラゴスの街中で売りさばくことで収入を得ている。……

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