カルチャー

ジャニーズにだけ詳しくてもジャニーズは語れない

2024年12月30日


<span>ジャニーズにだけ詳しくてもジャニーズは語れない</span>

 ジャニーズにだけ詳しくてもジャニーズは語れない。

 これは僕自身が、ジャニーズをはじめ好きなものについて語る仕事をし続けてきた上で、自分に言い聞かせていることである。もちろん、ジャニーズに限った話ではない。「好きな相手しか見ない」というのは、一見、真摯な態度にも見えるが、その実「好きな相手“も”見えていない」ということである。どんな人間も物事も、社会の中に存在している。その他の人や事象との関係性なしにその本質を捉えることはできないのだ。

 12月に『夢物語は終わらない ~影と光の“ジャニーズ”論~』(文藝春秋 2024年)という書籍を発売したので、今年は僕にとってこの本の執筆の1年だった。創業者の性加害が大きな社会問題となった中で、ジャニーズだけを見つめても問題や事務所の本質が見えてこないという性質はより強まった。そこで、この本の執筆にあたり、思考の背景になった本を紹介したい。直接引用をした参考文献ではないが、普段の読書の中で出会い、思わぬところで自分の思考の手助けをしてくれた本たちである。

 『敗者としての東京――巨大都市の隠れた地層を読む』(吉見俊哉・筑摩選書 2023年)は、東京を、家康・薩長・米軍によって3度占領されてきた“敗者”だと捉えた東京論である。東京を敗者として捉え直すという発想自体が慧眼だが、その意味では代々木に存在した米軍家族住宅エリアを含む施設、ワシントンハイツは敗者の街の中にできた勝者の街ということになる。……

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