スペキュレイティブ・デザイン(後述)で描かれた、50年後の国連のイメージ © Dofresh for UN DPPA
「国際機関で働く日本人って減っているんですか?」と度々聞かれるが毎回答えに窮している。というのも、部署や役職によって状況は大きく異なるからだ。例えば、かつて私が旧ソ連圏の紛争を担当していた際は、ロシア語が必須な部署だったせいか日本人はおろか自分が部内唯一のアジア人オフィサーだった。ちょっと寂しかったが、それはロシア語を専攻してしまった大学時代の自分を責めるとする。他の組織や部署でも、現場経験や言語など個々の採用条件によって結果的に職員の出身国・地域の偏りが生じることはありうるので、この例とは逆に日本人が多く活躍する部署もあろう。
むしろこの質問がどこから来たのかを考えたところ、どうやら日本では他国と比較して国際機関における日本人職員数が伸び悩んでいるという論調があるようだった。国籍のラベリングはあれども、私個人としては、素質があるのに地理的、人種的、文化的ハードルなどで報われてこなかった人たちが正しく評価される環境づくりが理想的だと考える。そういう意味で、これらのハードルをいくつか抱えている可能性の高い日本人の国連での活躍の増加が、国連内のダイバーシティ促進や人種差別撲滅の一助になれば素晴らしい。
ということを考えながらデータを見ていたら興味深い数字に直面した。国連をはじめとする国際機関で働く日本人の数は、2009年から19年の10年間で1.3倍と微増にとどまる一方で、日本人学生の海外留学はなんと同期間で約3倍にも増加したらしい。その波及効果で国連への就職が増えても良さそうなものの、就職先として国連がそれほど選ばれていないのは、どういう理由だろう。仮説を考えてみた。……