6月6日付第2面に、習近平中国共産党中央委員会総書記・国家主席が8日、9日の両日に訪朝するとの予告記事が掲載された。前日の5日には朝鮮中央通信が先だって報じている。3月下旬にベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が訪朝した際にはその当日に予告記事が掲載されたことなどに比べると、日程的に余裕を持った報道である。
習近平による訪朝は2019年6月以来のこととなる。ドナルド・トランプ大統領が9年ぶりに訪中してから1カ月も経たずしての中朝首脳会談は、中朝両国による多方面での協力強化のみならず幅広い文脈で注目される。習近平にとって今年初の外遊先が北朝鮮となること自体、金正恩(キム・ジョンウン)政権にとって非常に好ましい動きである。それはロシアのプーチン政権に対する「オールイン」「フルベット」がもたらした成果であった。
2022年3月、国連総会の緊急特別会合においてロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議が141カ国の賛成多数で採択された。中国はもちろんキューバやベトナムなども棄権するなかで、ロシア、ベラルーシ、シリア、エリトリア、北朝鮮の5カ国だけが反対投票した。プーチン政権に対する当時の北朝鮮の態度はあくまでも「反米」意識に基づくもので、ロシアへの一方的な秋波に映った。しかし、ロシア・ウクライナ戦争が長引いた結果、兵器の調達先としてモスクワが平壌(ピョンヤン)を必要とし、2024年6月のプーチン訪朝と新条約の調印に象徴されるような露朝蜜月に至っている。
自主路線を目指す北朝鮮としては明らかにバランスを欠いた、いわば「一辺倒」外交であり、数年間にわたる中朝のギクシャクを招いたが、それは結果として、アジアの盟主として振る舞う習近平がわざわざ金正恩に会いに行くという構図を作り上げたのである。
核物質生産工場訪問は習近平への意思表示
習近平訪朝を控えた3日、金正恩は新たに操業した核物質生産工場を現地指導した。金正恩は、この5年間に「兵器級核物質生産能力」が従来の2倍をしのぐ水準に到達したと述べ、朝鮮労働党第9回大会で策定された新5カ年計画でも核兵器保有数を増加させることを確認した。