カルチャー

連載小説:裂けた明日 第9回

2021年6月26日

内戦により、分断された日本。相次ぐ震災と原発事故、そして例の病気の蔓延で、国民の生活は壊滅的な影響を受けていた。家族を亡くし一人暮らす男の元へ、逃亡者が現れる――。<作家の眼が、現実を鋭く照射する。近未来の分断日本を描く、スリリングなSF長篇>

突然現れた民間防衛隊に、長谷川が撃たれてしまう。防護車を急発進させた信也は、全てを振り切るように軍事境界線を目指す。

[承前]

「ああ」と信也は正直に答えた。「地図には、道が二本あるようには印刷されていなかったと思う」

「長谷川さんの指先は、地図の上で一度、このような分岐のところを差していました。たしか」……

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