カルチャー

連載小説:裂けた明日 第12回

2021年7月17日

内戦により、分断された日本。相次ぐ震災と原発事故、そして例の病気の蔓延で、国民の生活は壊滅的な影響を受けていた。家族を亡くし一人暮らす男の元へ、逃亡者が現れる――。<作家の眼が、現実を鋭く照射する。近未来の分断日本を描く、スリリングなSF長篇>

街を警備する物々しい軍隊を目の当たりにしながら、三人はいわき駅へ向かう。無事東京へ発てるのか、それとも……。

[承前]

 賛意を示す声がいくつか上がった。バスはロータリーから発進した。急発進ではなかったが、ロータリーの外に出たところから急加速となっていった。

 ベストの男がどうなったか、最後まで見届けることはできなかった。ただ、銃声は聞こえてこない。爆発音もだ。誤解は解け、フランス軍の兵士たちも恐怖から解放されたのだろう。バスは市街地を抜けると国道六号線に入り、さらに速度を上げた。……

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