カルチャー

連載小説:裂けた明日 第14回

2021年7月31日

内戦により、分断された日本。相次ぐ震災と原発事故、そして例の病気の蔓延で、国民の生活は壊滅的な影響を受けていた。家族を亡くし一人暮らす男の元へ、逃亡者が現れる――。<作家の眼が、現実を鋭く照射する。近未来の分断日本を描く、スリリングなSF長篇>

東京到着後は真智の知人が迎えに来てくれるという。その素性を詳しく聞く間もなく、バスは再び発車した。

[承前]

 バスが加平インターから一般道に下りたのは、午後五時を十五分ほど回った時刻だった。予定よりも十五分ほど遅れている。途中、いわき湯本インター手前で検問があったし、内戦下ということを考えれば、むちゃくちゃに運行が乱れているとも言えないだろう。郡山から福島にかけては、そもそも公共交通機関が機能していない。それに較べれば、こちらはまだバスがあるだけでもましだった。

 綾瀬駅に向かう都道三一四号は、車の数が想像外に少なかった。とくに自家用車があまり目に入らない。走っているのは、バスと商用車がほとんどだ。道路脇の商業施設も、二軒に一軒はシャッターを下ろしている。シャッターのすべてにいたずら描きがされていた。歩道にはゴミが散らばっている。いわきの駅前よりも荒んでいる印象だ。ただ、ひと通りは多かった。いわき駅前よりもずっと多い。また、道路脇には半透明のゴミ袋がほうぼうで山となっていた。少し綾瀬駅に近づいたとき、そうしたゴミ袋の山から袋を選び出して、中をあらためている男を見た。風体から、路上生活を続けている男性だと想像がついた。道路の反対側に目をやると、同じようにゴミ袋の山をあさっている男がいた。……

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