ウチの近所に不思議な店が出現した。
商店の立ち並ぶ賑やかな通りから少し離れた坂の途中。以前は民芸品や竹製品を売る長閑な店構えであった。その小さな民芸品店がコロナの影響か、ある日、人知れず閉じた。
もともとそれほど人通りのある場所ではない。客が大勢、群がっているところを見たこともない。とはいえ、風情としてはなかなか魅力的だった。店先に孫の手や小ぶりのざるなどが並んでいると興味をそそられて、つい足が向く。
孫の手が見舞いの品にいいと教えてくれたのは東海林さだおさんである。以前、東海林さんががんの手術で入院生活を送ったとき、ベッドに寝たまま、しかも管に繋がれた状態で周辺のものを取ろうとするとなかなか手が届かなくて苦労する。……