「富民を自身の富に安んじて横暴にならないようにし、貧民も自分の貧に安んじて窮乏しないようにすれば、貧富あい和し長久を保って、天下も定まるものだ。ところが王安石は、小丈夫(つまらぬおとこ)である。貧民に同情して富民を憎悪し、貧民に恩恵を与えようとして、その無理に気づかない。まだ下積みの時代に作ったのが「兼併」という詩で、志を得ると、これをひたすら実行した。……禍根はこの詩にある。」(『王荊文公詩箋注』巻六)
「東坡肉(トンポーロウ)」といえば、おなじみのごちそう・豚の角煮のルーツをなす中国料理である。その名の由来は蘇東坡こと、蘇軾という著名な政治家であった。引用文はその蘇軾の実弟・蘇轍の手になるもの。兄弟そろって、さきに登場した欧陽脩と並ぶ唐宋八大家に数えられる。やはりかつて日本人におなじみの文人でもあった。
文中に登場する「小丈夫」の「王安石」も、やはり同じく八大家の一人、蘇軾兄弟とまったくの同時代人である。……