カルチャー

具の果て

2022年8月13日


<span>具の果て</span>
冷蔵庫に眠っている調味料が、味噌汁の新たな地平を切り拓くとは……(写真はイメージです)

 毎日の献立を考えるとき、一つ汁物が欲しいと、三食に一回ほどの頻度で思う。洋風のスープでもいいけれど、手軽にできるのはなんといっても味噌汁だ。ただ、味噌汁を作ることを決めたとして、さて具には何を入れようか。そこが迷いどころとなる。

 すぐに思いつくのは豆腐。あるいはワカメ。アサリやシジミがあれば、そんな贅沢なことはない。でもアサリやシジミがいいと思いついたとき、たいがい手元にアサリやシジミはない。だから買いに行かなければならない。今からですか? と、時計を見る。面倒だ。アサリやシジミを具にしたい場合は、前日ぐらいからその気になっていなければ間に合わない。当日、発作的に思いついてもダメなのだ。しかたあるまい。他の具を探そう。

 冷蔵庫を開ける。茄子、玉ねぎ、胡瓜、トマト、しいたけ、じゃがいも……。

 具だくさんの味噌汁は健康にいいと誰かが言っていた。そうそう、鎌田實先生だ。発酵食品である味噌を摂取することは悪くないけれど、どうしても塩分過剰になりやすい。長野県の諏訪中央病院で高齢者医療に携わるうち、思いついたとおっしゃる。野菜をいっぱい入れた味噌汁にすれば、味噌の塩分をおのずと抑えることができる。その上、野菜をたくさん食べられる。町の人々に具だくさん味噌汁を推奨なさった。その結果、脳卒中になる人の数を画期的に減らすことに成功したという。……

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