2022年の夏は、暗殺された安倍晋三元首相の「国葬」問題に注目が集まった。その際、日本における事実上の「国葬」の始まりとして、大久保利通の名前が挙がったことを覚えている人も多いだろう。
大久保もまたテロによって非業の死を遂げた政治家であった。その政治スタイルは果断で、時に非情な独裁者のイメージがつきまとう。倒幕と維新をリードしていくなかで、徳川家を含んだ公議政体の創出を説く諸侯の声を封殺し、かつての主君・島津久光を裏切って廃藩置県のクーデタに加担、さらには盟友・西郷隆盛ら不平士族の反乱に対して苛烈な鎮圧を断行した。
しかし、そのような非情な独裁者としてのイメージを覆す新たな大久保像を描き、毎日出版文化賞を受賞したのが、国際日本文化研究センター教授の瀧井一博氏の近著『大久保利通――「知」を結ぶ指導者』である。
瀧井氏は同書で、大久保と第16代アメリカ大統領のエイブラハム・リンカーン(リンカン)の共通点をいくつか指摘している。同書から一部を再編集してお届けしよう。……