いやあ、興奮してしまった! こんなに面白い言語本にはめったにお目にかかれない。
なにしろ、本書は現代言語学界の“絶対的エース”とも呼べる「生成文法」理論を完全に否定し、大胆かつ新しい仮説を提示しているのだ。
生成文法とは、簡単にいえば、人間は誰しも生まれつき言語を使う設計図的な遺伝子をもっているという説だ。生育環境によって母語として学ぶ言語が英語だったり日本語だったりするものの、脳の中にもともと備わっているのは同じ「普遍文法」だとされる。
数十年にわたって支配的なこの学説に対して、最近、いくつか反撃を加える書籍が日本でも翻訳出版されている。話題になったダニエル・L・エヴェレット著『ピダハン 「言語本能」を超える文化と世界観』、ダニエルの息子であるケイレブ・エヴェレット著『数の発明 私たちは数をつくり、数につくられた』(ともに屋代通子訳、みすず書房)、さらに言語学者ガイ・ドイッチャー著『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』(椋田直子訳、早川書房)などだ。……