ワールドベースボールクラシック(WBC)で日本チームが優勝した。大谷翔平(以下、プロ野球選手については敬称略)の活躍が世界中の関心を集めた。かつて、日本プロ野球(NPB)がメジャーリーグ(MLB)に勝つなど、考えられなかった。どうやって、野球界は、このような人材育成システムを作り上げたのだろうか。
私は、臨床医としての診療の傍ら、研究者、教育者としての活動を続けている。様々な領域での人材育成方法に興味がある。MLBを観戦する時にも、このような視点で見ることが多い。本稿では、MLBを題材に、私の人材育成を論じたい。
身体能力が特別優れている訳ではないメジャーリーガー
私の知人に澤井芳信氏という人がいる。スポーツバックスという会社を経営し、上原浩治や鈴木誠也などのアスリートのマネージメントを担っている。
澤井氏も野球人だ。1998年に京都成章高校の主将として、春夏の甲子園に出場した。夏は決勝戦まで進出し、かの松坂大輔投手を擁する横浜高校に敗れた。高校卒業後、同志社大学、そして社会人で野球を続けた。……