連載|Foresight

Vol. 266

米中の「無害な」首脳会談と「かりそめのデタント」活用論

2026年9月27日


<span>米中の「無害な」首脳会談と「かりそめのデタント」活用論</span>
米中首脳会談は年内にあと2回[米国立公文書館を後にする習近平氏(左から2人目)とトランプ氏(左から5人目)=2026年9月25日、アメリカ・ワシントンDC](C)REUTERS/Kylie Cooper

 習近平・中国国家主席が9月23~25日にかけて10年以上ぶりの国賓訪米を行いました。5月にドナルド・トランプ米大統領が北京を訪ねたことへの「返礼」と位置付けられ、一方の米国側も北京での歓待に謝意を示して大統領自ら出迎えるなど、融和イメージが強調された日程でした。スーツもネクタイもほとんどお揃いにした二人が並んで撮影に応じる様子は、かなり印象的なものでした。

 一方で首脳会談の成果は乏しく、11月10日が期限だった貿易休戦が2カ月延長されたことが示すように、課題のほとんどが先送りされた形です。そもそも、来年秋の党大会で政権4期目入りが有力視される習氏にとっても、11月3日に中間選挙を控えるトランプ氏にとっても、国内の安定が優先されて大胆な交渉を行いにくいタイミングです。通商問題について言えば、レアアースなど重要資源を握る中国側が構造的に優位にあり、トランプ政権は対中圧力の主要な武器である関税が国内物価高騰を加速しかねず、打ち出しにくい状況でもあります。懸念されていたトランプ氏の台湾問題をめぐる明確な“スタンス変更”もなかったためか、海外メディアの報道は少し醒めたものになっている気がします。

 ただ、もちろん米中の戦略的競争関係のテンションが下がったわけではありません。上記のような構造的優位を保持しつつ、「中華民族の偉大な復興」に向けて長期戦の構えの中国も、習近平体制4期目の振る舞いが現状維持となるとは限りません。目下の小康状態を米ソ冷戦期のデタントになぞらえつつ、一時的な猶予期間を米国はどう生かすべきかという議論が、通商でも技術覇権争いでも、そして安全保障でも目につきます。

 今回は米中首脳会談を踏まえながら両国関係の構図を大きく捉え直す議論、そして台湾問題とAI(人工知能)開発競争という米中間の大きな火種をめぐる新たな議論など、注目の記事・論考7本をピックアップしました。

 皆様もぜひご一緒に。

Trump's do-no-harm summit with Xi【Daniel Desrochers, Phelim Kine, Ari Hawkins, Oliver Ward/POLITICO/9月25日付】

「ドナルド・トランプ大統領と中国の習近平国家主席との豪華絢爛な首脳会談がホワイトハウスにもたらしたのは、時間の余裕だった――そして、それ以外には、ほとんど何も」

 米ポリティコによる「トランプの習との無害なサミット」(9月26日付)は、このような書き出しで今回の首脳会談を総括する(筆者は国際通商担当記者のダニエル・デロシェール、中国特派員のフェリム・カイン、記者のアリ・ホーキンス、通商担当記者のオリバー・ウォード)。

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